スティーブン・ピンカー『言語本能』
子どもは誰にも文法を教わらないのに、なぜ話せるのか。ピンカーは「言語は本能だ」と答える。クレオールとニカラグア手話、脳と遺伝子の証拠、サピア=ウォーフ仮説の検証、思考の言語、そして文法の「木」を、8本で読む(序と第1〜4章の範囲)。
ことばは学ぶものか、生まれつきのものか? ピンカー『言語本能』を10分で
子どもは、誰にも文法を教わらないのに、なぜ話せるようになるのか。ピンカーの答えは「言語は本能だ」。主張の骨組みと、それを支える四種類の証拠、読みどころを、先に整理する。
言語は文化の発明なのか、それとも本能なのか? クモの巣のたとえと、石器時代の文法
「言語は人間が発明した最大の道具だ」という常識に、ピンカーは真っ向から反対する。クモの巣のたとえ、ダーウィンの1871年の観察、ニューギニア高地の「出会い」、そして「普遍的なものがすべて本能とは限らない」という反論への答えまで。
子どもは、本当に言語を「発明」しているのか? ピジン、クレオール、ニカラグア手話
大人がぎこちない混成語を話す。その子どもたちが、それを、複雑な文法を持つ新しい言語に作り替える。ハワイのクレオール、ニカラグアの聾学校で生まれた手話、そして両親より上手に手話を話した少年サイモンの話を読む。
子どもは、教わっていない文法を、なぜ知っているのか? 「刺激の貧困」と疑問文の実験
親は文法を教えない。それでも3歳の子は「-s」を9割以上正しく使い、二つの is を含む文から、正しい方を選んで疑問文を作る。チョムスキーの「刺激の貧困」論を、一角獣の疑問文と、ジャバ・ザ・ハットの実験で確かめる。
言語だけが壊れる病気、言語だけが残る病気はあるのか? ブローカ失語、SLI、ウィリアムズ症候群
知能は保たれているのに文法だけが壊れる人がいる。知能は重く損なわれているのに、おしゃべりな言語は流暢な人もいる。「言語は一般的な賢さの働きだ」という見方を、この二重の乖離がどう揺さぶるのかを読む。
言語は思考を決めるのか? サピア=ウォーフ仮説と「エスキモーの雪の語」の誤解
「ニュースピーク」「ホピ族に時間の概念はない」「エスキモーは雪を表す語が数百ある」。よく聞く話の、どこまでが本当か。ピンカーが、ウォーフの議論と、色彩語・ホピ語・雪の語の三つの例を、順に検証する。
人は何語で考えているのか? 「思考の言語」(メンタリーズ)という仮説
言葉を持たない赤ちゃん、サル、そして言語を持たない大人は、どうやって考えるのか。頭の中で「文字を回転させる」実験、チューリングの機械、「ラルフは象だ」の推論の落とし穴。ピンカーが、英語は思考の媒体になれないと論じる理由を読む。
文はなぜ「鎖」ではなく「木」なのか? ピンカーが説明する文法の基本設計
「犬が人を噛む」と「人が犬を噛む」は、ニュースになるかならないかが違う。言語は、語を並べる単純な規則ではなく、入れ子の「木」でできている。語連鎖装置がなぜ破綻するのか、句構造文法が何を解決するのかを、either…or の例で確かめる。