特集
ラスムス・ラスクの肖像(エミール・ベーレンツェンによる石版画)

ラスムス・ラスク

グリムの表よりも4年早く、比較言語学の方法を打ち立てたデンマークの旅する言語学者。デンマーク王立学術協会の懸賞論文『古ノルド語の起源に関する研究』(1818) を、原文とともに読む。「語彙より文法を見よ」という原則から、なぜ名前が残らなかったのかまで。

103

ラスムス・ラスク『古ノルド語(アイスランド語)の起源に関する研究』(1818) を読む——グリムより4年早く、比較言語学の方法を打ち立てた男

デンマーク王立学術協会の懸賞論文として書かれた一冊。グリムの有名な表が世に出る4年前、ラスクはすでに「語彙より文法を見よ」という方法論を、みずからの言葉ではっきりと打ち立てていた。

104

語彙より文法を見よ——ラスクの方法論を、やさしく

二つの言語が似ているかどうかを、単語の響きだけで判断してはいけない——ラスクは1818年、この直観を明快な理由づけとともに言語学の方法として打ち立てた。専門用語なしで、その中身を追う。

105

旅する言語学者——ラスムス・ラスクの短くも波乱に満ちた生涯

27歳で懸賞論文を書き上げたあと、ラスクはヨーロッパを飛び出し、ロシア・ペルシアを越えてインド、セイロンまで旅をした。書斎の学者ではなく、現地で言葉と写本を集め続けた研究者の、44年の生涯を追う。

106

「語源学は、これまで気まぐれの遊び場だった」——ラスク、1818年の原文を精読する

デンマーク語で書かれた第1章の冒頭は、まず従来の語源学への痛烈な批判から始まる。そこから「文法が複雑な言語ほど古い」という具体的な目安まで、ラスクの論理を、原文とともに一段ずつたどる。

107

似ていても、油断するな——ラスクの比較の実践を読む

父を意味する πατήρ、pater、Vater、faðir。似ているからといって、すぐに祖先を同じくすると決めつけてはいけない——ラスクは、自分自身が挙げた実例にさえ、慎重な留保をつけていた。そして「まずグリーンランド語と比べる」という、意外な出発点を読む。

108

なぜ「グリムの法則」で、「ラスクの法則」ではないのか

同じ発見に、先にたどり着いたのはラスクだった。それなのに、なぜ後世に名前が残ったのはグリムのほうだったのか。デンマーク語という言語の壁と、「体系化」の力を読む。

109

検証——ラスクの方法論は、二百年後の言語学からどう見えるか

「語彙より文法」という原則は、今も比較言語学の土台であり続けている。だがラスク自身が下した個別の判定——ケルト語は仲間ではない、という結論——は誤りだった。方法の正しさと、個々の結論の正しさを、分けて採点する。

← ホームへ